知ってるよもぅ
そんなことぐらい知ってるんだから
自分がかもしだした
何気ない一言とかしぐさとかが
知らないうちに誰かを傷つけてしまっているように
誰かがかもしだした
いつもは笑って軽く流せるような
ほんのちっぽけでささいなことが
いきなりぎゅーんて胸に突き刺さってきて
やりきれないくらい悲しくなっちゃうことがあることぐらい
とっくの昔から
知ってるんだってばもぅ
だからそれは誰のせいでもなくて
誰が悪いわけでもなくて
自然現象のいっこなんだから
気にしちゃだめなんだよって
がんばって自分に思い込ませてみるわけなんだけども
ポジティブ回路がショートしてて
空回りがフル回転しちゃってて
本体が大分傷ついてきちゃったので
おふとんにうずくまることにしたんだ
おふとんの中身も
なんだかちっとも心地よくなくて
目をつぶってしばらくもぞもぞしていたら
頭の一番奥のところにある
小さい頃の記憶再生ボタンのスイッチが
勝手に入っちゃったみたいなんだ
バスに揺られて遠足に行ったあの日
お昼になって先生が
「お弁当の時間ですよー、
それじゃあ各自グループを作って食べましょう」
って言って
みんなが仲良しグループのおともだちと
輪になって楽しそうにお弁当箱を広げ始めたとき
どうしようどうしよう
どこかの輪に入んなきゃどうしよう
でももし「やだ」って言われちゃったら
もっとどうしよう
ってずっとずっと考えてて
「一緒に食べよう」
の一言が
どうしても言えなくて
先生に「どうしたの?」
って聞かれるのが嫌で
猛ダッシュでみんなから
遠く離れた木の影で
こっそりひとりでお弁当を食べたんだ
そのお弁当は
おばあちゃんが早起きして
「おともだちにも分けてあげなさいね」って
楽しそうにこしらえてくれたもので
一人じゃ食べきれないくらいのフルーツが
大きなタッパーに一杯詰まってて
そのタッパーを開けたとき
タッパーの蓋のうしろに
おばあちゃんの顔が浮かんできて
なんだか急に悲しくなっちゃって
少しだけ涙がこぼれてきたんだっけ
でも残して帰るときっと
おばあちゃんが悲しむに違いないと思ったから
食べきれない分はこっそり川に流しちゃったんだけど
流したときにもなんだかちくちく胸が痛くなって
おばあちゃんに申し訳ない気分で一杯になって
今度は涙がポロポロでてきちゃったんだ
「お昼の時間は終わりです。さあみんな集合してください」
っていう先生の合図が聞こえたとき
一人でいるのを気がつかれるのがイヤで
クラスの女子で一番おとなしそうな人が集まっているグループに
そっと忍び込んだりなんかして
つくり笑いを浮かべながら
ずっと一緒にいるそぶりなんかみせたりなんかして
バスに乗り込んだんだ
バスの席はくじ引きで決まってるから
安心して自分の場所に座ることができたの
バスの中にいるときが
一番楽しかったんだよなあ
そうだよそう
今のこの気分って
あのときの自分の中と
すごく良く似てるんだ
自分はどこにいてもいいのか
何をしてもいいのか
全然わかんなくなっちゃって
とにかくとっても悲しいんだから
もう、しょうがないじゃない
なんかちっとも進歩してないよなぁ
大人になれば大丈夫
きっとうまくやっていけるって
ちょっとだけ思ってたんだけどなぁ
小さい頃おばあちゃんが
「あんたは悲しがりの寂しがりなの」
っていっつもあたしに言ってたから
大人になってもその癖が
直んなくなっちゃったのかなぁ
さっき入った小さい頃の
記憶再生は
まだしばらく終わりそうもないので
涙と一緒に
垂れ流しておくことにするか
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